生産能力過剰なのに納期が長い車種が存在する理由

2025年11月15日

今、世界の自動車メーカー全体では、需要を大きく上回る潜在的な生産能力を抱えている、生産能力過剰の状態にあると言われています。


中国の生産能力が販売の2倍

中国では、中国国内の工場の生産能力が販売の約2倍に相当すると言われています。少しでも販売見込みを見誤ると、あっと言う間に供給過多に陥り過剰在庫に陥ります。中国の自動車メーカー吉利(Geely)の会長は、「自動車産業は世界的に深刻な過剰生産能力に直面している」と述べています。


欧州の生産能力過剰も深刻

欧州も中国に次いで生産能力過剰問題が深刻化しています。中国自動車メーカーとの競争も激化していて、欧州の自動車工場の平均稼働率が 55%前後と分析している専門家もいます。


なぜ生産能力過剰に陥っているのか?

特に欧州における生産能力過剰が深刻かした最大の要因の一つは、EV化だと思います。EV化によって、中国の自動車メーカーが短期間で凄まじい生産能力を持つようになりました。中国の自動車メーカーは容赦なく自動車を生産します。

また、先進国の自動車メーカーは内燃機関車の工場設備を維持しつつ、EV専用の新しい生産ラインやバッテリー工場に投資をしなければならなくなりました。


日本の自動車メーカーは?

日本の自動車メーカーもグローバル全体でみると生産能力過剰気味です。特に中国市場では日本車のシェアが急落しているので生産設備が余っていると思われます。

「でも、ランクルやアルファード、ジムニーは納期が長いじゃん!」

って思われるかもしれません。確かに一部モデルでは、生産が追いつかず、納期が長かったり受注停止していることは事実です。この矛盾こそが、現在の市場の二極化を示しています。

  • 収益性の低いセグメントでは供給能力過剰
  • 高利益率の特定モデルでは需要の極端な集中

この2極化が起こっているのです。

半導体や特定部品の供給が不安定な中、自動車メーカーは高利益率のモデルのハイブリッド車や上級モデルを優先して生産しています。しかし、その優先車種に注文が集中しすぎるため、工場の生産能力が物理的に追いついていません。


特定の車種に人気が集中する理由

納期が長い、つまり生産能力が追いついていない車種の特徴は、高残価率です。ある程度の人気が集まると、中古車の需要も高くなります。そうなると残価率も高くなり、その高い残価率を狙ってさらに人気が集まります。残価率が高くなると、売却時にもしっかり資産価値が残り、実質的に車両所有コストが安くなります。


新車価格800万円300万円の車があったとします。

新車時価格で500万円の差がありますが、800万円の車両は人気車種で3年後の残価率が70%。300万円の車両は残価率が40%とします。

車種の特徴 新車価格 残価率(3年後)
高残価率車 800万円 70%
低残価率車 300万円 40%

両車の3年の実質所有コストを調べると…

1. 高残価率車(新車価格 800万円)の実質所有コスト

項目 計算 結果
3年後の売却価格 800万円×70% = 560万円 560万円
実質的所有コスト 800万円 – 560万円 240万円

2. 低残価率車(新車価格 300万円)実質所有コスト

項目 計算 結果
3年後の売却価格 300万円×40% = 120万円 120万円
実質的所有コスト 300万円 – 120万円 180万円

3. 新車時の差500万円が、実質コストの差は60万円に

車種の特徴 新車価格 3年間の実質コスト
高残価率車 800万円 240万円
低残価率車 300万円 180万円

メンテナンスコストや燃費、自動車保険等のコストは含まれていない単純計算ですが、新車時の差500万円が、実質コストの差は60万円になるとは驚きの結果ですね。


実質コストを考慮するなら高額新車買っても、決して高い買い物ではなかったと言えますね。買った値段とほぼ同等か、それ以上の価格で売れるケースも少なくありません。これは、高残価率の車が、単なる移動手段ではなく、資産価値を維持する金融商品としての側面を強く持っていることを示しています。

以前、残クレアルファードの曲がバズりましたが、残価率が高いアルファードを残クレで購入することは、決して悪い選択では無いと思います。

低残価率車は生産能力過剰

各車両の納期をしらべているわけではありませんが、低残価率の新車は恐らく納期が短いと思います。

「車なんて乗れたら何でも良い、乗り潰す可能性が高く売るときのことは考えない」

と言う人であれば、低残価率車を買えばすぐに納車されるでしょう。


好きな車と、暮らそう。

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