EV搭載貨物船が炎上、鎮火失敗で無人漂流

2025年6月6日

3,048台のうち861台がハイブリッド車、70台がBEV(完全な電気自動車)を運搬していた貨物船、モーニング・ミダス号が、6月3日の午前0時頃火災が発生。 米国沿岸警備隊は6月4日午後に遭難警報を受信しました。

遭難した場所は アラスカのアダック島の南西約482km(約300マイル)の北太平洋上。

MORNING MIDASの現在地

最初に煙の発生を確認したのがEVを積載していたエリアだったので、EVのバッテリーに起因する火災の可能性が高いようです。

モーニング・ミダス号は、中国の煙台港を5月26日に出発し、メキシコのラサロ・カルデナス港に向かっていました。つまり燃えた車は中国で製造された車両であったと考えられます。

2023年にオランダ沖で発生したEV輸送中の貨物船の火災以降、各船会社は火災対策を講じてきました。モーニング・ミダス号を管理しいるゾディアック・マリタイム社も、“乗組員は、十分に訓練されていて緊急消火手順を直ちに実行し、消火システムも完全に機能していた”と述べています。にもかかわらず、あまりにも火勢が強く制御不能となり、船を放棄せざるを得なかったそうです。

22人の乗組員全員が救命ボートで脱出し、その付近を航行していた商船に救助されました。

モーニング・ミダス号は現在も煙を出しながら海上を無人で漂流している状態です。直ちに沈没するような兆候は見られないそうですが、救助を要請したサルベージ会社のタグボートが到着するのは6月9日頃。モーニング・ミダス号はそれまで持ちこたえられるのではないか、とサルベージの専門家は判断しているそうです。

乗組員全員が脱出しているのでとりあえずは一安心ですが、この貨物船には350トンのガス燃料と、1,530トンの低硫黄燃料油が積載されているらしく、今後は海洋環境保護を最優先事項として対応が進められる予定。

「乗組員は手順に沿った適正な消火活動を実施し、かつ消火システムはすべて完全に機能していた」

それでも対処できなかったことで、船会社や保険会社の懸念が強くなるはずです。今後のEVやハイブリッド車の輸送がますます困難になるのでしょうね…。


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