ハイテク装備は知りすぎていないか?

2025年4月30日

人類には技術革新が必要不可欠です。

「俺はアナログな車が好き、ハイテクな車は嫌いだ」
「過剰な安全装備は邪魔でしかない」

と言う主張には大いに賛成ですが、大局的な視点では人類が持続可能な社会を築いていく上で、技術革新は必要だと断言できます。

それを前提として、自動車に搭載されているハイテク機能が適切なものなのかは消費者が理解して置いたほうが良いのでは?とも思っています。

具体的にはハイテク機能が消費者の意図しないプライベートな情報を回収している可能性があるかもしれない、ということ。よくこの手のニュースが世界で問題になることがありますよね。人は理解を超える情報やニュースに対して、自分には関係ないことだと考えがちです。しかし、過去に分かりやすい事例もいくつかありました。

テスラのプライベートな映像や画像問題

テスラには多数の車載カメラが搭載されています。ドライバー監視システムは、運転手のあくびや瞬きの回数をカメラで調査しています。しかし、その車載カメラで撮影された映像がテスラの社内メッセージ上で共有され問題になりました。


iRobot ルンバのプライベート写真流出問題

自動車ではありませんが、ロボット掃除機で有名なiRobotのルンバも、一部のモデルで部屋の間取りや家具の配置などの情報をクラウドに送信していたことが問題になったことがあります。クラウドに送信されたデータにはトイレに座っていた顔がハッキリ分かる女性の画像も含まれていました。iRobotのケースは下請け企業が流出させたみたいですが、それはそれでデリケートな情報を他企業に渡すのってどうなの?と不審に思う人もいるでしょう。

この2つの問題はアメリカの企業での出来事です。てことは…、どことは言いませんがもっと怪しい国のメーカーなら、どんな情報を収集してどのように利用されてしまうのか、考えたら少し怖くなります。

中国企業は国家の情報活動に協力しなければならない”国家情報法”があります。そんな中国、最近の自動車のハイテク化には目を見張るものがあります。仮にそのハイテクを悪用すれば、自動車はあらゆる情報を集められる情報収集マシンにもなり得ます。

具体的にどんな情報が収集される恐れがあるのかを箇条書きにしてみると

・現在地、移動履歴(しかもリアルタイムで)
・EVバッテリーの充電履歴
・急加速や急ブレーキの情報
・衝突等、大きな衝撃を感知した時の情報
・運転手や同乗者の体格は性別等
・どんな店に行くか
・どんな趣味を持っているか
・運転手の目線や顔の表情
・周辺の道路や建物の情報
・周辺の交通状況
・音楽や動画の再生履歴
・アプリの利用状況
・音声アシスタントのコマンド履歴
・ナビや装備品の検索履歴や操作履歴
・車内の会話
・指紋認証システムの指紋

他にももっとあると思いますが、ざっと思いつくのはこんなところでしょうか。

これらの自動車を収集され、最悪な形で利用されるリスクは何でしょうか?

個人レベルのリスク

・居住地や生活パターンを把握される
・車載カメラ・マイクによる車内での会話

会話や検索履歴等はデータは膨大な容量になります。全てを回収して全てを分析することは非効率的。しかし、特定のキーワードを検知した際に、その前後のデータを切り取って回収することで収集する絞り込みが可能。例えば某国の当局の依頼で、特定の条件にマッチした車両の徹底的な情報収集や分析を行ったり、リアルタイムで追跡することもできるはずです。

国家・産業レベルのリスク

車載カメラやLiDARで軍事施設や原子力発電所等の詳細情報を収集される恐れもあります。その国の通信網の状況、どこに人口密集するのか、一般の人が入手できる内容以上の詳細な情報も集めることができるのかもしれません。

あまり過剰に心配するのは精神衛生上よくありませんが、個人レベルで具体的な対策を講じるのは現実的に難しいのも事実です。アメリカ政府が中国の通信機器大手ファーウェイに対し、安全保障上の懸念から厳格な規制を設けたように、この問題は国家レベルで取り組むべき領域とも言えるでしょう。不買運動をしましょう、と言っているのではなく、安全保障上の観点から注意すべき点があることは知っておいて欲しい、と言う話です。


好きな車と、暮らそう。

AUTORIESEN

サービス工場Blog
車検、点検、整備のあれこれを毎日更新!
熟練のメカニックの匠の技をご覧頂になれます。