ノロノロ運転・短距離運転で不調になる車

2024年6月15日

日本に住んでいると、インドメーカーの自動車に乗る機会はほとんど無いと思います。限りなくゼロに近いと思います。

今日はあまりと言うかほとんど縁のないインドの自動車の故障に関するネタになりますが、知らない世界のことを知って損は無いと思います。

インドの自動車メーカー、マヒンドラのScorpio-N (Z8L)が、新車で購入して1万キロ付近で走行中に不具合を起こし、停止してしまうトラブルがしばしば起こっています。オンラインフォーラムでもこのトラブルに関してオーナーの不満が爆発しています。

どこのメーカーのどんな新車であっても、多かれ少なかれ故障することはあります。とは言え、新車から1年や1万キロ位であればその確率は少ないものです。しかし、SNSやネット上でもトラブル報告が多いと言うことは、それなりに故障率が高い車だと判断できます。

マヒンドラのスコルピオNの故障報告が多いのは、Z8シリーズのディーゼルエンジン搭載車。ガソリンエンジン搭載車には同じ故障は出ていません。

問題になっているのはDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の詰まりです。DPFはディーゼルエンジン車から出る有害な粒子状物質(PM)をキャッチして排出ガスをクリーンにしますが、キャッチできる粒子状物質にも限界があります。DPFがこの粒子をキャッチし続けるといずれ目詰まりを起こしてしまいます。そうなると最悪の場合動かなくなってしまうのです。

DPFは一昔前からいろんな自動車メーカーが導入しているので、マヒンドラもDPFの目詰まりのことは想定しています。しかし、それでもScorpio-Nの目詰まりが防げなかったケースが多かった主な理由は、以下の3点だと思われます。

  1. 渋滞のノロノロ運転が多い
    インドは経済成長に伴い急激に自動車の保有台数が増えました。道路インフラの整備も不完全なので、渋滞が発生し易いようです。このノロノロ運転がDPFに良くないのです。対策としては、ノロノロ運転の時にはできるだけ低いギアを使用し、高いギアの使用を控えます。

    渋滞はDPFに悪影響

    渋滞はDPFに悪影響

  2. 短距離運転が多い
    渋滞のノロノロ運転に加え、短距離運転の繰り返しをしているとDPFは詰まりやすくなるそうです。時々エンジンを2,500~3,000回転付近まで回し、30分くらいハイスピードで走らせた方が良いそうです。DPFには蓄積された粒子を燃焼して再生させる機能がありますが、1.の渋滞ノロノロ運転と、2.の短距離運転ばかりを繰り返していると、DPF再生が不完全になります。これは、マヒンドラのスコルピオNに限った話ではありません。ただ、車種によって燃焼再生の条件が異なりますので、自分の車のDPFがどうやって再生されるのかを知っておいたほうが良いでしょう。
  3. 粗悪な燃料やオイル
    軽油やエンジンオイルの質もDPFの目詰まりに影響が出ます。粗悪な燃料やエンジンオイルは使用せず、DPFを使っている車両に適合しているものを使うべき。DPFに関係なく粗悪な燃料やオイルの使用はおすすめしませんが…。

マヒンドラのスコルピオNが際立ってDPFの詰まりが多いのかは不明ですが、オーナーによっては6,000km弱で複数回DPFの警告が点灯した人もいるそうです。ただ、DPFの詰まりを低減させる乗り方が広まっているので、皆さん対策すれば防げる問題だと思います。ただ、渋滞が酷いエリアに住んでいたら何ともなりませんが…。

好きな車と、暮らそう。

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