EV革命、歴史のある自動車メーカーが苦戦する理由

2024年6月3日

「これからはEVの時代だ!」

と、EVシフトを目指している自動車メーカーがEV販売に苦戦していて、テスラやBYDのような新しい自動車メーカーがEV販売台数を伸ばしています。

よく言われているのは、
「内燃機関を持つ車両は積み上げてきた知識と経験が欠かせないので、歴史のある自動車メーカーが優位。」
「EVはスタート地点がほぼ同じなので、新規参入が容易。」
です。

確かにこれは間違いではありません。しかし、自動車を生産すると言うことは、エンジンやモーターで車を走らせるだけではありません。止まったり、曲がったり、安全性の確保、快適性、静粛性、積載能力、デザイン、耐久性、メンテナンス性、販売後の部品供給等、様々な技術が必要とされます。内燃機関車のエンジンや変速機と、EVの電気モーター(e-Axle)を除けば、共通しているところはたくさんあるのです。

しかし、いろんな技術が必要でも、自動車メーカーから技術者を引き抜いてしまえばある程度は解決します。でも、それだけではテスラやBYDが破竹の勢いで売れるようになったことが説明できませんよね。

私はクルマづくりの経験の差EVの販売台数の差に繋がったんだと思っています。ちょっとこれだけだとよく意味が分からないかもしれませんが、簡単に言うならクルマづくりの経験が浅いことがプラスに働いた、ということです。もう少し具体的に言うなら、固定観念に縛られないので、こんな方法があったのか!と歴史のある自動車メーカーが思うであろう発想が生まれ、またそれを採用するかどうかを決める人も同じような視点でその発想を受け入れているからでしょう。

BYDに関しては、これに加えて中国政府の後押しもあって勢いを増しているのだと思います。ただ、BYDのような企業が中国から出てくることはある程度予測はできていたと思われます。しかし、テスラに関してはイーロン・マスク氏と言う極めて強力なリーダーシップを持った異端児がいたからこその企業なので、誰も予測できなかったのではないでしょうか。イーロン・マスクの存在は自動車業界だけではなく、社会全体に大きな影響を与えています。

しかし自動車業界は今、大きな変革期の真っ只中。まだまだどうなるか分かりません。

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