トルコの新車価格が高騰している理由
「新車の価格が以前より高くなった」と感じる人も多いと思いますが、自動車の価格高騰は日本だけの話ではなく、世界的な現象です。
しかし、世界を見ると日本の自動車価格高騰はかなり抑えられていると言えます。特にトルコの自動車価格高騰は酷いです。
例えばBMW X3の近いグレードで日本とトルコの価格を比較します。
世界的な自動車価格の高騰情勢と、その背景にある各国の事情を解説します。
1. 世界主要都市の新車価格ランキング(VW Golfクラス相場)
世界40都市における新車(VW Golfクラス)の平均購入価格比較です。
2. シンガポールとデンマークが高価格な理由
シンガポール:「車を持たせない」ための徹底した政策
シンガポールはもともと世界一車が高い国として有名ですね。国土が狭いため、交通渋滞を防ぐ目的で政府が意図的に車の保有台数を制限しています。車を購入する前に、10年間車を所有するための権利(COE)をオークションで競り落とす必要があります。これだけで1,000万円以上することがあります。さらに車両価格に応じて課される追加登録料(ARF)や輸入税などがありますので、日本で200万円台の普通車が、シンガポールでは2,000万円〜3,000万円以上になります。
デンマーク:環境保護と高福祉を支える高額課税
デンマークは、高い環境意識と高福祉社会を背景にした税制が価格をかなり押し上げています。新車購入時に車両本体価格に対して、最大150%の自動車登録税が課されます。排気量やCO2排出量が多いガソリン車ほど高い税率が適用されるので、新車全体の乗り出し価格が非常に高額になります。
3. トルコ(イスタンブール)+89%上昇の背景
トルコの自動車価格が大きく上昇した理由は深刻な通貨安とインフレです。
トルコリラ暴落
トルコでは過去数年で自国通貨(トルコリラ)の価値が暴落しました。本来、インフレには利上げで対処するのが鉄則ですが、エルドアン大統領の持論により強いインフレ下で強引な利下げを断行。さらに反論する中央銀行総裁を更迭したことで独立性が失われ、トルコリラに対する信用がガタ落ちしたことで暴落を招きました。
日本も円安だと騒がれていますが、トルコは比較にならないくらい酷いです。10年で通貨の価値が1/16程にまで落ちていますので、日本での感覚だと1ドルが2,500円位になります。トルコは自国生産の車両が実質TOGGの1メーカーだけで、大半が輸入車扱いになります。輸入車は特に自国通貨安の影響を受けるのです。
ただし、トルコは海外メーカーの生産工場を誘致してきたので、日本や欧州メーカーの車をトルコ国内で組み立てています。その大半は欧州などへの輸出用ですが、その一部はトルコ販売向けになっています。それでも部品は海外から輸入するので、その分トルコリラ暴落の影響を受けますね。
特別消費税(SCT)の存在も痛い
さらにトルコでは、排気量や価格帯に応じた特別消費税(SCT)が課されます。高額な車ほど税率が上がり、車本体の価値以上の税金が上乗せされる仕組みになっています。
4. 日本も徐々に上昇。誰もが新車に乗れる時代は終わるのか?
日本も安全装備・先進技術の標準化、原材料費・物流費の高騰、円安等の影響で、自動車の価格は穏やかですが確実に上がり続けています。
昭和〜平成の時代、自動車は努力すれば誰でも所有できる移動手段でした。しかし、車両価格の上昇が続くと新車を買うハードルは確実に高くなっています。
今後は長期保有(買い替えサイクルが長くなる)が進み、KINTO等のサブスクが増えると思います。都市部を中心にカーシェアリングをする人も増加するでしょう。さらに先の未来、完全自動運転(レベル5)が当たり前になったら、スマホアプリやスマートグラスで目的地を指定すると、周辺を巡回(回遊)していたりステーションで待機していた自動運転車が数分で迎えに来て乗せてくれる。そんな時代が来ると言われています。
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