BYDが日本市場で狙う「ハイセンス方式」の侵食戦略

2026年10月20日

中国のBYDが日本に本格参入してからしばらく経ちますが、「街でたまに見かけるけど、あまり売れている感じはしないな…」と思っている方も多いのではないでしょうか?

実際にBYDは今どれくらい売れているのか気になりますね。

JAIAが発表した2026年度上半期(2026.4~2026.9)の外国メーカー車の登録台数ランキングをご覧ください。

外国メーカー車(乗用車)
ブランド 2026年度上半期
(2026.4~2026.9)
順位 ブランド 台数(a) シェア%
1 Mercedes-Benz 24,472 20.34
2 BMW 14,687 12.21
3 VW 14,226 11.82
4 Audi 10,755 8.94
5 BMW MINI 8,635 7.18
6 Volvo 5,899 4.90
7 Porsche 4,445 3.69
8 Land Rover 3,899 3.24
9 Jeep 3,425 2.85
10 Peugeot 2,775 2.31
11 BYD 2,043 1.70
12 Citroen 1,618 1.34
13 Renault 1,549 1.29
14 Fiat 1,533 1.27
15 Ferrari 1,006 0.84
16 Alfa Romeo 847 0.70
17 Lamborghini 548 0.46
18 Hyundai 472 0.39
19 BMW Alpina 385 0.32
20 Maserati 308 0.26

Renault、Citroen、Fiat、Alfa Romeoよりも登録台数は多いですね。ただし、この数字はあくまで登録台数です。店舗のデモカーが多く含まれている可能性があります。

いずれにしても「それほど売れていない」という感じ。YouTube等で、BYDは売れていないから撤退だ!のような動画もありますね。でも実はこれ、BYDも想定通りと考えているようです。

BYDは、日本市場で短期的な売り上げを追うのではなく、「じっくり時間をかけて日本に根付く」という戦術をとっています。

このやり方、 一昔前日本市場に参入し、今やテレビ・家電市場などでかなりのシェアを獲得している「ハイセンス(Hisense)」や「ハイアール(Haier)」などの成功パターンと同じ。

1. 急がない。長期戦を仕掛ける理由

日本は世界的に見ても、トヨタ・ホンダ・日産といった自国ブランドへの信頼が圧倒的に強い自動車最難関市場です。過去には多くの海外メーカーが撤退に追い込まれてきました。

BYDも日本市場の攻略の厳しさは百も承知。だからこそ、長期視点で動いているのです。

  • 「お試し」ではなく「浸透・定着」
    短期的な値引き合戦で数を売るのではなく、日本市場に信頼されるブランドとして定着することを目指しています。

  • 全国にリアルな店舗(ディーラー)を作る
    ネット販売だけに頼らず、全国に正規ディーラーや認定工場をオープン。「買った後のメンテナンスが不安」という日本人の心理に寄り添うインフラを整えています。

2. 家電の成功法則を踏襲するBYD

BYDの動きを見ていると、ハイセンスやハイアールのように成功した中国家電メーカーとの共通点がいくつも見えてきます。

① まずはBtoB戦略

ハイセンスがホテルなどの業務用テレビで実績を作ったように、BYDは乗用車を売るずっと前から日本の路線バスやコミュニティバス(電気バス)を納入していました。 実はすでに日本全国の自治体やバス会社でBYDのEVバスが多数走っており、信頼の土台を静かに築いてきました。

ただし、家電の成功パターンと大きく違う点が一つあります。ハイセンスは2018年に東芝のテレビ事業(REGZA)を、ハイアールは2011年に三洋電機の白物家電事業を取得しています。つまりこの両社は、日本で長年育まれたブランド、販路等を手に入れたうえで成長してきました。その分、家電よりも厳しい戦いになると思います。

② 日本人が喜ぶ徹底的なローカライズ

海外モデルをそのまま持ってきても日本人はなかなか買いません。BYDは日本向けに細かい調整を施しています。

  • 日本特有の軽自動車枠、RACCOの投入

  • 日本の急速充電規格、CHAdeMOや立体駐車場サイズへの対応

  • いきなり完全電気(BEV)は不安という人向けのプラグインハイブリッド(PHEV)の展開

右ハンドル化だけでなく、ウインカーレバーの位置まで日本に合わせて調整してくる徹底ぶり。

3. 長い保証期間

中国車が壊れるから心配だと考えている人を安心させるため、新車保証も長めです。

  • EV新車保証
    DOLPHIN、SEAL、SEALION7は4年10万キロ
    RACCO、ATTO3 EXは6年15万キロ
  • PHEV新車保証は6年15万キロ。

10年後、BYDは日本の「当たり前」になるのか?

10〜15年前、「中国製のテレビや冷蔵庫なんて…」と言われていたハイセンスやハイアールが、今や日本の家電量販店で当たり前に売られ、多くの消費者に選ばれています。

BYDがやっているのは、まさにその自動車版。街でBYDの車が当たり前に走る時代が来るのでしょうか?

恐らく、家電よりも難易度はかなり高いと思っています。TVや洗濯機等の家電と大きく異なるのは、高額商品で、リセールバリューの評価がついて回ること。

リセールが良くなったら、BYDはかなり怖い存在になりますが、このリセールを良くすることがとても難しいのです。


好きな車と、暮らそう。

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