レーンキープアシストは消えかけた白線をどう判断するのか
最近の車には、車線からはみ出しそうになると警告したり、ハンドル操作を支援して車線内を走りやすいようサポートする機能が装備されています。
メーカーによって呼び名は異なりますが、「レーンキープアシスト(LKA)」や「レーンディパーチャーウォーニング(LDW)」など
。 このシステム、カメラで道路の白線や黄線を認識し、自分の車がどこを走っているのかを判断しています。 では、白線が消えかけていたり、ほとんど見えなくなっている道路では、どうやって車線を判断しているのでしょうか?実際に、消えかけた白線もしっかりアシストしてくれていて、どうやって判断しているのだろうと不思議に思ったので調べてみました。
そもそもレーンキープアシストとは?
まず、似たような名前の機能を整理しておきましょう。車線に関係する運転支援機能には、いくつかの種類があります。
- 車線逸脱警報(LDW)
車が車線からはみ出しそうになったときに、音や表示などでドライバーに知らせる機能。 - 車線維持支援(LKA・LKAS)
車線内を走行できるようにステアリング操作を支援する機能。いわゆる「レーンキープアシスト」はこれにあたります。 - 車線中央維持(レーンセンタリング)
車線の中央付近を走れるよう、継続的に操舵を支援する機能。
メーカーによって名称や作動する条件は異なりますが、共通するのは「車が自分の走っている車線を認識する必要がある」ということ。つまり、道路上の白線や黄線がどこにあるのかを検知しなければなりません。
車はどうやって白線を検知しているのか?
レーンキープアシストは車の両サイドの白線(黄線)を確認しているのではなく、一般的にはフロントガラスの上部などに設置されたカメラを使い、前方の道路を撮影しています。
フロントのカメラが撮影した画像から、白線や黄線の位置、道路の形状などを認識し、車線がどこにあるのかを推定する仕組みです。 例えば、白線はアスファルトよりも明るく見えます。その明るさの違いや線の輪郭、連続性などを、車線検出の手掛かりにしています。
人間が見れば一目瞭然でも、実際に画像処理での車線探しは思った以上に難しいようです。アスファルト上には補修跡、ひび割れ、タイヤ痕、汚れ等が多数存在します。 線がどの方向に伸びているのか、左右の線がどのように配置されているのか、道路が直線なのかカーブなのか、といった情報も使いながら、車線の位置や形状を推定します。
認識した車線と走行している車の位置関係をもとに、警告を出したり、ステアリング操作を支援したりしています。
消えかけた白線はどうやって判断する?
さて、ここからが本題。 道路の線、特に白線は、薄くなっているところが多いですよね。
薄くなったり、ほぼ消えかけてしまった車線を、車両側はどうやって検知しているのでしょうか。実は、車線の消えかかっている道路でも、路面との明るさの違いが残っていれば、カメラが検知できる可能性があります。人間の目にはかなり薄く見える白線でも、画像の中で路面とのコントラストが残っていれば、システムが認識できる場合があるのです。
カメラの性能や画像認識の仕組みはメーカーや車種によって異なりますが、一般的には次のような工夫で、薄い線への対応力を高めていると考えられています。
- 画像のコントラストを補正する
明るさの差を強調する処理を行い、薄い線でも抽出しやすくする。 - 片側の線だけでも車線を推定する
左右どちらかの線が見えていれば、一般的な車線の幅の情報をもとに、反対側の位置を推定する。 - 直前の認識結果を引き継ぐ
車は走行中、道路を連続して撮影しています。直前まで認識していた線の位置やカーブの形から、先の線の位置を予測して補う。ただし、これで補えるのはごく短い区間だけ。 - 認識できないときは機能を解除する
線を十分に認識できないと判断した場合は、システムが自動的にアシストをやめ、メーターの表示などでドライバーに知らせます。

上の画像のように、ほぼ消えている場合でも、わずかにその痕跡があれば検知できることがあります。 ただし、消えかけた白線でも作動することはあるが、いつでも作動する保証はない、という点は大切です。取扱説明書にも、白線が不鮮明な場合は作動しないことがある旨が記載されていると思います。「作動しなくなることもある」という前提で運転したほうが良いかもしれませんね。
いちばん難しいのは工事中の車線?
道路工事などで車線が変更された際、古い白線が完全に消されず、薄く残っていたり、臨時に線が引かれていることがあります。

しかし、カメラにとっては、古い白線も新しい白線も、臨時の車線も、線らしい特徴を持ったものとして映る可能性があります。単に白線を検出するだけでなく、どちらが現在の車線を示しているのかを判断する必要があります。 人間なら、工事の標識やコーン、前を走る車の流れを見て「今はこっちの線だ」と判断できます。しかしカメラにとっては、線が複数あってどれが有効かを見分けるのが難しく、これはレーンキープアシストにとって難しい状況の一つです。 こうした状況では、誤認識したり、車線を認識できなくなったりする可能性があります。
工事中以外にも苦手な場面がある
工事中以外にも、カメラが線を見つけにくくなる場面があります。
- 雨の夜や路面が濡れているとき(反射で線が見えにくい)
- 逆光や、トンネルの出入り口(明るさが急に変わる)
- 雪道(線そのものが隠れる)
- フロントガラスの汚れ・曇り
このような場面では、機能が一時的に使えなくなることがあります。
AIを使えば、白線がなくても走れる?
最近は、AIを活用した画像認識技術も発達しています。 AIを使ったシステムなら、白線の明るさや形だけでなく、道路や周囲の特徴を学習し、車線や道路の領域を認識することが可能。 また、製品によっては、白線以外にも次のようなものを手がかりにして走行できる範囲を判断しています。
- 路肩の縁石
- ガードレールや壁
- 先行車の走行位置
では、白線がなくても走れるのでしょうか?結論としては、白線がなくても道路の形状、縁石などから走行できる範囲を認識することはできる。しかし、すべての道路で保証されるものではない、ということになります。AIを使っているからといって、どんな道路でも正しく認識できるわけではありません。人間も見間違えることがあるように、AIも間違えることがあります。
車の進化だけでなく、道路の整備も重要
レーンキープアシストは、カメラで白線を撮影し、その位置や形状などから車線を認識しています。 しかし、古い白線と新しい白線が重なっていたり、白線がほとんど消えてしまっていたりすれば、正しい判断が難しくなります。 運転支援技術がどれだけ進化しても、認識するための手掛かりがなければ限界があるので、道路の整備も必要ということです。
そして、レーンキープアシストはあくまで運転を「支援」する機能。白線が薄い道路や工事区間では、作動しないことや、意図しない動きをすることもあります。ハンドルから手を離さず、常に周囲を確認しながら運転することが大切です。
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