「ヘッドライト眩しすぎ問題」にいよいよメス!アメリカ当局が規制見直しへ
夜の運転中、対向車のヘッドライトに「眩しっ!」となること、ありませんか?
「今の絶対ハイビームでしょ!?」と思ってすれ違ったら、実はロービームだった…なんてこともよくあります。
原因のひとつが、最近のプロジェクター式LEDヘッドライトの「カットオフライン(光と影の境目)」です。上に光が漏れないよう、この境目はかなりくっきり設計されています。そのぶん「明」と「暗」の落差が大きく、段差や荷物の積みすぎで車体が少し上下に揺れるだけで、真っ暗から強烈な光へ一瞬で切り替わるのです。
そして、この「ヘッドライト眩しすぎ問題」。アメリカでも苦情が増えていて、ついに国が動き出しました。
なぜ今のヘッドライトはこんなに眩しいの?
理由はひとつではありません
- カットオフラインの落差
冒頭で書いたとおり、少し揺れただけで明暗がガラッと変わる。 - LEDそのものの明るさ
最近の新車のヘッドライトはLEDが主流で、従来のハロゲンよりかなり明るく、光も前に強く飛ぶ。 - 色温度
白〜青白い光は、眩しく感じやすいと言われている。 - SUVや大型車の増加
ライトの位置が高いので、低い車からは光が目に入りやすい。 - オートハイビームの切り替えラグ
対向車を検知してからロービームに戻るまで、少し時間がかかる車もある。
「LEDの光は目に悪い」は本当?
「あの眩しさ、目に悪いんじゃない?」と心配になりますよね。ただ、ヘッドライトの光で目が傷む、と言い切れる話ではありません。実際に問題になるのは、眩しさによる不快感や疲れ、そして一時的に見えにくくなることです。
暗さに慣れた目に強い光が急に入ると、瞳孔の調整が追いつかず、しばらく視界が悪くなります。特に青っぽい光は目の中で散乱しやすく、まぶしさを強く感じる原因になります。
実は年齢の影響も大きいと言われています。年齢を重ねると水晶体が少しずつ濁り、光が目の中で散らばりやすくなるため、高齢の方ほど眩しさを感じやすくなります。米国のIIHS(米国道路安全保険協会)の調査でも、70歳以上のドライバーがグレアの影響を特に受けやすいとされています。
ついにアメリカのNHTSAが動いた!
米国道路交通安全局(NHTSA)が、10月6日(米国時間)に、車両の照明基準を書き換える方針を発表しました。
背景には、ヘッドライトの眩しさへの苦情が増えていること、そして議員から「明るさの上限を決めるべきだ」という声が出ていることがあります。ピックアップトラックやSUVが増えたことも、苦情が増えた要因だと言われています。
IIHSによると、ヘッドライトの明るさ(最小・最大)に関する連邦基準は1997年から変わっていません。
(対向車に当たる部分だけ光を弱める「配光可変ヘッドランプ(ADB)」は、2022年に新車への搭載が認められている。)
今回の見直しで挙がっているのは、主に次の内容。
- LED、薄暮センサー、オートハイビーム、交換式光源に関するルールの改善
- ヘッドライトの取り付け高さと光軸(向き)が、視界やグレアにどう影響するかの評価
- 眩しさ対策と、最新の安全向上型ライティング技術を使えるようにするための見直し
ちなみに、明るさの「上限」を決めてほしいという声は議員から出ていますが、今回の発表ではまだ上限を設けると決まったわけではありません。
ルール作りは交渉型ルールメイキングという方法で進められます。運輸長官が、照明メーカー、車両機器の団体、安全団体、研究機関、工学団体などから最大18名を選び、皆で基準案を話し合う形なのだとか。
ここで一つ気になるデータがあります。IIHSの調査(2015〜2023年、米国11州)では、夜間事故1,000件のうち、グレアが要因とされたのはわずか1〜2件でした。事故への影響は、見通しの悪さのほうがずっと大きいそうです。それでも「眩しくて怖い」「疲れる」という声が増えているのは、事故件数だけでは見えない問題だからかもしれません。
今後、クルマづくりは変わるかも?
日本でも、車検のヘッドライト検査はロービームが基準になってきています。眩しさ対策は、日本でもじわじわ進んでいるわけです。
アメリカは日本の自動車メーカーにとっても最重要市場なので、アメリカの基準が変われば、日本のメーカーもそれに合わせた車づくりになっていくはずです。
ここからは個人的な予想ですが、取り付け高さが評価の対象に入っているので、SUVやトラックのヘッドライトの位置やフロントマスクのデザインにも、何か影響が出てくるかもしれませんね。
好きな車と、暮らそう。
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