ダチアとは
まずは「ダチア」という聞きなれないメーカー名の説明から今回はスタートしましょう。
ダチアはルーマニアの自動車メーカーで、実はルノー日産グループのメーカーです。
もともと、ルノーのクルマをノックダウン生産し、その後いったんルノーとの関係は解消されるのですが、経営悪化から再度ルノーグループの一員となり、現在に至ります。
そして、今回取り上げるのは「ダスター」のTCe 125 4×4 Ambianceです。写真をご覧いただければわかる通り、世界中で流行している「SUV」です。
サイズ感から言うと、B~CセグメントをベースとしたSUV、例えば同じルノー日産グループで言えば、「日産 ジューク」や「ルノー キャプチャー」、その他のメーカーで言えば「トヨタ C-HR」「ホンダ ヴェゼル」といった車名を挙げると想像しやすいかもしれません。
試乗インプレッション
それでは早速試乗してみましょう。まずシートにかけたら「これはフランス味!」と実感します。
当たりの柔らかいシートに腰掛ければ、そこからルノーの香りが漂います。そして、走り始めても、なかなかしなやかな乗り味で、これもフランス的なテイストだと感じます。
エンジンは直4 1.2Lターボエンジン。
そう、これは「ルノー カングー」にも搭載され、大変定評のあるエンジンなんです。
ここまで簡素なクルマなので、先入観で「乗ってみた印象も古臭いのかもしれない」と走り始めると、「!」と驚きの連続となります。
まず、このエンジン、しっかりトルクがあります。アクセルペダルを踏まなくても、クラッチペダルを丁寧に操作すれば、容易に発進ができてしまいます。
そして、坂道発進をしようとしても、ずり下がりません。ヒルスタートアシストがついています。
そして、走り始めれば1.2Lとは思えないほど元気よく走ります。
このサイズのSUVに1.2Lは不安を感じましたが車両重量が1.4tを切っており、実はこのクルマは4輪駆動なのにたいへん軽量なのです。だから、軽快に1.2Lターボで元気よく走るようです。
トランスミッションは6速MTですが、シフトフィールは可もなく不可もなく。
もう少しドライな感じでスパッと入るとより気持ちいいと感じますが、このカテゴリーならこういった印象なのかもしれません。
ちなみにこのマニュアルのシフトノブはカングーと同じもののようです。
さらに4輪駆動の切り替えスイッチは日産のエクストレイルなどと同じスイッチのように感じました。
このあたり、そこかしこにルノー日産グループの香りが少し感じます。
試乗当日は幸いにも雨で、4輪駆動の切り替えをして、どういうフィーリングが異なるかということを試してみました。
2WDで強めの加速をすると、予想通り前輪が空回りし加減になります。「4WD LOCK」にすると、駆動力はしっかりかかっているようですが、直進性が若干劣るような印象を感じました。
そして、やっぱりベストと感じたのは「4WD AUTO」というモードでした。
普段走られる時もこのモードにすることをお勧めしたいと思います。
ステアフィールは少しあいまいな印象で、ねっとりしたような操舵フィールで、個人的にはそこがあまり好まなかったポイントでした。
また、リバースギアに入れると、フロントワイパーが動いていればリヤワイパーも連動し、後方視界に役立ててくれたり、変速を上げたほうがいい、下げたほうがいいという表示が出たり、案外細かな配慮を「ダスター」はオーナーにしてくれるということに驚きました。
美人ではないけれど、素朴で優しく、面倒見のいい妻。
そんなテイストを今回の「ダスター」では感じることができました。
案外、「若者のクルマ離れ」を引きとめるにはこういったクルマが買いやすい価格で提供されることが近道なのかもしれません。